 |


|
 |
 |
 |
|
 |
 |
 |
 |
| |
| 特集 電磁波過敏症 第3回(2006年1月) |
| どうなの?電磁波過敏症の最前線 |
 |
■ 電磁波過敏症の国際的な評価
電磁波MonthlyWatchでの電磁波過敏症の特集も、第3回目です。今回は、電磁波過敏症という症状について、WHO(世界保健機構)が現時点でどのような見解を示しているか、ご紹介したいと思います。
WHO(世界保健機構)は、昨年12月以下の文書を公開しました。
◎電磁場と公共福祉 電磁波過敏症(Fact sheet 296)
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs296/en/
概要を述べると、WHOは電磁波過敏症を兆候として収集・理解しているけれど、現時点では電磁波過敏症と電磁波をつなげる科学的根拠がない、という主張です。今月号の電磁波MonthlyWatchでは、ひとまず該当となる同文書を全訳します。
■ 電磁過敏症
工業社会が進展し、技術革命が生じていくにしたがい、電磁場(EMF)の因子が増え、電磁場も多様なかたちで拡がっています。 電磁場の因子として、コンピュータと接続されるビデオディスプレイ装置(VDUs)、携帯電話、および携帯電話の基地局などが挙げられます。これら因子となる装置・設備によって、私たちの生活がより豊かに、より安全に、より簡単になる一方で、電磁場(EMF)放出によって発生しうる健康リスクが懸念されています。
近年、多くの研究者が、電磁波暴露に関する健康問題を報告しています。ある患者にとっては、電磁場を意識的に避けていれば、それほどの害はなく、また、別の患者にとっては、身体がひどく影響されるため、仕事をやめ、ライフスタイルの変更も余儀なくされています。電磁場(EMF)から影響される、これらの身体状況は、「電磁波過敏症」と一般に呼ばれるようになっています。
今回のファクトシートは、電磁波過敏症についての知見を説明し、電磁波過敏症の兆候をもった人々に一助となる情報を提供します。提供された情報は、電磁波過敏症に関するワークショップ(@プラハ、2004年)、電磁波および不特定の健康問題(COST244bis、1998)に関する国際会議での協議に基づいています。同時に、欧州委員会での報告書、および最近の一部論説に基づいています。
■ 電磁波過敏症(EHS)とは何か?
EHSはさまざま不特定の兆候によって特徴づけられています。これら不特定の兆候は、電磁波暴露によって、個人の感覚器官に影響を与えています。とはいえ、一般的な兆候は、神経衰弱患者の兆候であり、そして、心理的な兆候(疲労、集中力低下、めまい、吐き気、動悸、消化不良)、皮膚病の兆候(赤さ、うずき、および灼熱感)を含んでいます。補足すると、ここで収集された兆候は、明確な症状の一部ではありません。
電磁波過敏症(EHS)は、化学物質過敏症(MCS)および化学物質の環境暴露から生じる症状と類似しています。電磁波過敏症(EHS)と化学物質過敏症(MCS)の両者は、一見すると、毒物学的・生理学的な根拠・検証を欠いており、さまざまな不特定の兆候によって、特徴付けられています。環境要因へ敏感さに対して、より一般的な用語でいえば、「特発性環境不耐症 Idiopathic Environmental Intolerance(IEI)」となるでしょう。「特発性環境不耐症(IEI)」は、1996年にベルリンで開催された「WHO国際化学物質安全性計画(IPCS)に関するワークショップ」から発しました。特発性環境不耐症(IEI)は、人間に悪影響をおよぼす、不特定の兆候を共有する多くの異状を包括しています。とはいえ、電磁波過敏症(EHS)という用語が、一般的な用法であるので、今後も、本文書にて電磁波過敏症(EHS)という用語を使用します。
■ 電磁波過敏症(EHS)の拡がり
一般住民における、電磁波過敏症(EHS)の分布を測定すると、誤差範囲が広範囲にわたっています。あるメディカル・センターの調査では、人口100万人あたりの電磁波過敏症(EHS)患者は数人でした。しかし、あるボランティア団体の調査では、はるかに高い数値が報告されました。報告されたケースのおよそ10パーセントは、非常に深刻な身体状況と述べられています。
また、EHSのひろがりと報告された兆候には、かなりの地理的な変化があります。デンマーク、スウェーデン、ドイツ、イギリスよりも、オーストリア、およびフランスでは、EHSの報告された発生が、より高くなっています。 北欧諸国では、VDU関連の兆候が一般的でした。そして、それらは、他のヨーロッパ諸国よりも、皮膚の異常と相関しています。より一般的に関係づけられました。また、患者個人によって報告された兆候と同様の兆候が、その地域でも一般的な兆候となっています。
■ 電磁波過敏症(EHS)患者に関する研究
いままでの実験は、電磁波過敏症(EHS)患者自身が兆候の原因と考えたものと同様の電磁波にさらされた場所で行われました。実験の目的は、実験室の諸条件のもとで、兆候を再現させることでした。
上記実験の大部分は、電磁波過敏症(EHS)患者が、正常な人間と比べて、正確にEMF露出を検出することができなかったということを示しています。制御されて行われたダブルバインド試験は、電磁波過敏症(EHS)の兆候が、電磁波暴露と関連していないことを示しました。。
電磁波過敏症(EHS)患者が経験した兆候は、電磁波とは別個の環境要因から起こるかもしれないという可能性が提起されました。たとえば、ビデオディスプレイ装置(VDUs)の蛍光ライト、眩しい光、および、視力障害から生じる「光の明滅」。また、コンピュータの貧弱な人間工学にもとづくデザインも、原因として含まれるかもしれません。他の原因とは、仕事場や居住環境での空気の悪さや室内の気圧も含まれています。
では、電磁波過敏症(EHS)の兆候が存在するといういくつかの指摘は、電磁波の健康効果を心配しすぎたため、つまりはストレスと同じく、電磁波暴露よりも、むしろ精神医学の問題なのでしょうか?
■ 結論
電磁波過敏症(EHS)は多数の非特定的な症状によって特徴づけられ、症状には個人差がありますが、その症状は確かに実在します。そして症状の重さには振幅がありえます。ある人にとって、その症状は当人の生活を一変させるものになりえます。原因が何であっても、電磁波過敏症(EHS)は、影響を受ける個人に有害な問題です。しかし、電磁波過敏症(EHS)には、明確な診断評価基準がありません、そして、電磁波暴露への電磁波過敏症(EHS)をリンクする科学的根拠がいまのところ全くありません。さらに、電磁波過敏症(EHS)は医学的な診断ではありません。医学上の問題かどうかも定かではありません。
●医師の方々へ
影響を受ける患者の治療は、仕事場での電磁波を減少・排除する必要性を説くのではなく、以下の事項に留意し、健康上の兆候と臨床状況に集中してください。
・兆候の原因となる条件を特定して医学上の評価を行うこと 。
・兆候の原因となる精神医学・心理学上の状態を特定し、心理学的な評価を行うこと。
・明確な兆候を示す諸原因に関して、仕事場と家の状況を評価すること。これらは屋内の空気汚染、過度の雑音、貧しい照明(点滅する光)等、人間工学的な要素が含まれます。ストレスの削減、仕事状況の改善が適切である場合もあります。
持続的な兆候と重い障害残っている電磁波過敏症(EHS)の患者にとって、療法は主に兆候自体と、機能的な障壁をなくすことに向けられるべきです。そして、専門医(兆候医学や心理学の知見をもった)と衛生士とともに、密接な協力で治療を進めるべきです(兆候の特定、必要であれば、患者に適切の不利な健康影響を与えるのが知られている因子の特定)
治療は、社会生活を普通に送っていくために、有効な医師と患者の関係を構築して、事態を収拾するための戦略を確立することを助け、患者が社会生活へ戻ることを目指すべきです。
●電磁波過敏症(EHS)の患者の方々へ
専門医の治療以外に、ボランティア団体は、電磁波過敏症(EHS)の患者にとって、貴重な情報源となりえます。
●各国政府の担当者へ
各国政府は、電磁波の潜在的な健康被害に関して、適切でバランスのとれた情報を電磁波過敏症(EHS)の患者、保健医療専門職、および雇用者へ提供するべきです。提供される情報は、現時点では、電磁波過敏症(EHS)と電磁波暴露との科学的根拠がまったく存在していないという明確な声明を含むべきです。
●研究者の方々へ
いくつかの研究が、電磁波過敏症(EHS)の患者の生理的な応答が、規格外である傾向があることを示しています。とりわけ今後の治療のために。臨床試験の入力情報と、出力としての、自律神経系の必要性における中枢神経系の異常と不均衡によるものです。
■ WHOは何をするか?
WHOは、国際電磁波プロジェクトを通して、電磁波研究の必要性を特定し、電磁波暴露に関する、健康上のリスクの、望ましい理解を共有するために、EMF研究の世界的なプログラムを調整しています。同プロジェクトは、現在、低周波の電磁波が身体に及ぼす健康結果に注力しています。
翻訳は以上です。
科学的根拠がないという、電磁波過敏症の研究結果に対して、今後どのような臨床・治療活動が継続されていくか。そして今後の電磁波過敏症(EHS)研究の行方が注目されるところです。
|
| |
|
 |
 |
 |
|
 |